咳は基本的に、空気の通り道である気道に侵入した異物(ほこり、細菌、ウイルスなど)を気道の外に出すためのからだの防御反応です。
異物が侵入すると、気道にある咳のセンサー(咳受容体)が感知し、その刺激が神経を通って脳にある咳中枢に送られます。そして、咳中枢から横隔膜などの呼吸を行う筋肉に異物を外に出す指令が出され、咳が起こります。咳には気道にたまった痰をからだの外に出す働きもあります。
咳が出るメカニズム(咳反射)
咳は、持続期間により、3週間未満の「急性の咳」、3週間以上8週間未満の「遷延性(病気が長引く状態)の咳」、8週間以上の「慢性の咳」に分類※1することができます。風邪などの感染症が原因の咳は、2~3週間で治りますが、長く続く咳は、感染症以外が原因である可能性が高まります。
※1 日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019作成委員会(編).咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019.メディカルレビュー社, p9
咳の持続期間と感染症による咳の割合
咳は、痰の有無によっても分類※2され、痰が出る「湿った咳」と、痰が出ないか出たとしても少量の「乾いた咳(空咳)」に分けられます。
一般的に、乾いた咳の原因としては、咳ぜん息やアトピー咳嗽などが考えられます。一方、湿った咳の原因として多いのは、風邪などの感染症ですが、長引く場合は、ぜん息やCOPDが隠れている可能性があります。
慢性の咳や痰は、COPDの早期症状であることが多いのですが、喫煙や風邪のせいだと考え軽視している人が少なくありません。COPD早期発見のためのチェックシートでは、質問項目に咳や痰が含まれていますので、気になる人はチェックしてみましょう。
※2 日本呼吸器学会 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019作成委員会(編).咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 2019.
メディカルレビュー社, p9
咳の種類とおもな原因